あすはひのきになろう

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兇人邸の殺人/今村昌弘(東京創元社)【感想】

 

2022年8月23日読了。

 

あらすじ

『魔眼の匣の殺人』から数ヶ月後──。神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子が突然の依頼で連れて行かれた先は、“生ける廃墟”として人気を博す地方テーマパークだった。園内にそびえる異様な建物「兇人邸」に、比留子たちが追う班目機関の研究成果が隠されているという。深夜、依頼主たちとともに兇人邸に潜入した二人を、“異形の存在”の無慈悲な殺戮が待ち受けていた。待望のシリーズ第3弾、ついに刊行!

出典:http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488028459

 

 

感想

 館の構造が複雑! 常に見取り図とにらめっこしていないと、容易に訳が分からなくなります。というかにらめっこしてても厳しい。1階があり、地下があり、主区画があり、副区画があり、本館があり、別館があり、跳ね橋が複数あり、隠し部屋があり、うおおおお!!!といった感じ。

 ミステリっちゃミステリなんですが、それを上回るくらいパニック味、アクション味が強い。日光に弱い巨人と一緒の館に閉じ込められた上、一緒に閉じ込められた人たちの中にも殺人者がおり、てんやわんやする……といったお話。葉村・比留子パートと過去パート交互に進みますが、過去パートのミスディレクションが上手くハマっていた気がします。いや多分誘導されてるんだろうな~となりますが、終盤まで犯人(と言うか”生き残り”?)の当たりを付けられなかったです。比留子さんとは今回分断されており、それもあって葉村も比留子さんも結構悩んだりした末に、別キャラの後押しもあってお互いを信じて頼りあう関係性になっていくという二人の気持ち的な面のお話が良かった巨人側の真実も結構切ないし、”生き残り”が良い人なのも切ない。一方謎解きは正直条件がややこしくて、あんまりピンと来たとは言い難いですが、一応特殊設定を活かしたものになっていたのは、シリーズならではかなと思いました。

 それはそれとして、ラストで「え?まさかあの人が!?」と言わんばかりに登場した人が誰かさっぱりわからなくて申し訳ない気持ちになりました。