あすはひのきになろう

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七つの魔剣が支配するVI/宇野朴人(電撃文庫)【感想】

 

2022年8月9日読了。

 

あらすじ

運命の魔剣を巡る魔法バトルファンジー、待望の第6弾!

エンリコの失踪はキンバリーに衝撃をもたらした。二年連続の異常事態に教師陣も犯人捜しへと動き始め、ついには学校長自らの尋問が生徒へと及ぶことに。
不穏な情勢下で近付く統括選挙の時期。後継者を決めあぐねるゴッドフレイ陣営の前に、因縁の対抗勢力が立ち塞がる。
そんな中、人生を懸けて箒競技のタイム更新に挑むアシュベリーは、大きな壁にぶつかり苦しんでいた。彼女の助けになろうとするナナオだが、ふたりの華々しい活躍は選挙と無縁でいられず──。
一方でオリバーたちの前には、転校生の少年・ユーリィが現れる。軽いノリとは裏腹に高い戦闘能力を持ち、楽しげに校内を探って回る彼の目的とは──。

出典:https://dengekibunko.jp/product/7-maken/322003000191.html

 

 

感想

 二年生編ラストの巻。一応箸休め巻の位置づけになるはずですが、謎の転校生に動き出す統括選挙、オリバーの不調に箒の試合と相変わらず盛りだくさんの回でした。

 今回、オリバーがかなりグラついていた印象ですが、ここまでが(少なくとも外面的には)完璧超人すぎたきらいもあったので、ここらへんで弱いところを仲間に晒す展開はかえってとても良かったです。ナナオをはじめとしたみんなとの鬼ごっこで不調を乗り越えるくだりも良かったし、やたらハグし合うのも微笑ましい。この6人、もはや単純な友人関係や恋愛関係という言葉では言い表せないくらい深い関係性になってますよね。そう、ナナオもオリバーにやらかしてましたが、巻を重ねるごとにサラッと下というか、性的な描写が増えている気がして(新キャラの一人もそう、笑っていいのか困ってしまった)、それ自体がどうこう言うわけではないんですが、それはそれとして急にそういう表現に出くわすと面食らってしまいますね。

 教師陣の犯人捜しはなかなか捗っていない様子。ただ、転校生の正体もそうですが、さすがにこのまま手をこまねいているだけではなさそうなので、次巻以降どうなるかですね。選挙の方もまだ始まったばかりですが、ゴッドフレイ陣営が負ける展開は考えづらい一方、かといってミリガン先輩が勝つのも想像着かないんですよね。

 さらに、今回の見所は何と言っても箒に人生を賭けたアシュリーのお話でしょう。展開自体は3巻を踏襲しているものの、学校に渦巻く様々な思惑を超越したところで己と向き合い、最高のパートナーとともに人生の目的を達成した彼女の最期は切なくも非常に美しく、挿絵も相まって心動かされるものがありました。個人的な嗜好としてキャラが退場するのはあんまり好きじゃないんですが、この作者のキャラの退場のさせ方には、滅びの美学があるというか、そのキャラに相応しい最期を用意しようという姿勢が見えて、とても好感が持てます。本当に良かった。