あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室/吉野憂(ガガガ文庫)【感想】

 

2022年9月23日読了。

 

あらすじ

笑える頭脳バトル爆誕!!!!!
「マウンティング!」それは、古代より伝わる最強の格付け方法である。
上流階級の子息が集まる私立鷺ノ宮学園には、絶対のルールが存在する。
それは、マウントを取って勝ち上がること! ザ・一般人の佐藤零は、このままでは最下位クラス確定。お金持ちに虐げられる3年間を送ることに。生き残るにはSクラスに上がるしかない。
愕然とする彼の前に、突然現れた見知らぬ美少女。月並千里は、いきなりキスして言う。
「幸せマウントを取るため、私と恋人になって!」「なんで!?」
最強にウザい彼女と手を組んで、学園の頂点を目指せ! 
小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。ドタバタ展開てんこ盛り、新時代エンタメをとくと見よ!

出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09453087

 

 

第16回小学館ライトノベル大賞《優秀賞》受賞作品。受賞時のタイトルは『学校一の美少女たちに告白されたけど嬉しくないし正直なところ迷惑でしかない』(「憂井ヨシノ」名義)。ゲスト審査員の磯光雄による講評は以下の通り。

これぞラノベ、という需要を満たさんとする意欲に満ちた作品。スクールカーストをマウンティングというツールとゲーミフィケーションで異化しようとする試みは評価される予感がするが、おじさんを振り落とすドタバタが盛りだくさんで振り落とされた。

出典:https://gagagabunko.jp/grandprix/entry16_FinalResult.html

 

感想

 マウントの取り合いで優劣が決まる学園に入学した主人公が、入学式でいきなりキスされたヒロインとともに最上位クラスを目指して他の生徒たちとマウントを取り合っていくお話。何それ……。

 雰囲気としては『バカとテストと召喚獣』に近いかもしれません。途中から動物のアバターを出しながら戦ったりするし。「マウント」が題材ということで、ともすればイライラさせられるような内容になってしまいそうですが、学園の価値観から距離を置いた主人公がツッコミを入れることで、マウントのナンセンスさとバカバカしさが強調される作りになっており、素直に笑いながら読むことができる。一発ネタのアイデアを膨らませたものではあるんだけど、マウントのネーミングや類型化、台詞回しといった手数の多さで飽きさせず、優劣比較決闘戦(マウンティングバトル)の描き方に幅を持たせることに成功しています(優劣比較決闘戦って何やねんってのは置いといて)。特に最終戦のシリアスになりそうになる度に意地でもしょうもない方向に持っていく流れが本質的ですよね。どうあがいてもしょうもないんですよ、マウンティングって。

 かなり楽しめたんですが、シリーズ化には若干不安もあったり。あとがきを読むに続刊前提のようですが、そもそもが一発ネタであるがゆえに、続ければ続けるほど面白さのハードルは上がっていくので……。