あすはひのきになろう

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JKハルは異世界で娼婦になったsummer【感想】

 

 2021年2月16日読了。

 

あらすじ

JKハルのシリーズ短篇集登場!

『JKハルは異世界で娼婦になった』本篇後も、ハルたちの異世界ライフは続いていた――転送前の出来事を千葉視点から綴った前日譚「いつかヒーローみたいに君のこと救いたかった」、娼館に下着泥棒現る!? 「夜想の青猫亭殺人事件」、最強の冒険者の仲間イーゴとシスター・キヨリの物語「泥河は低く流れて」、ハルのその後とルぺの選択を描く「mom」等を収録。JKハルのキャラクターに再会できる、待望のシリーズ短篇集

出典:https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014413/shurui/page5/disp_pc/

 

 

感想

 本編の後日談的な短編集。とはいえ、蛇足感は全くなく、本編を気に入った方は是非読んでいただきたいと思います。本編がほとんどハルの一人称で進行したのに対し、本作では千葉やキヨリ、スモーブにルペといった彼女を取り巻くキャラ達が掘り下げられるとともに、彼らから見たハルの姿も描写されており、なかなか面白かったです。特に千葉は大活躍でした。「いつかヒーローみたいに君のことを救いたかった」と題された3本の短編群を読めば、異世界で彼は彼なりの成長を遂げていたことが分かるでしょう。短編集でありながら、読み進めていくうちにちょっとした伏線が回収されていったりとか、同じ時系列を別のキャラの視点から捉え直したりとか、構成が巧みで、一気に読んでしまいました。本編が相互不理解の物語であるならば、こっちは相互理解ができるかもしれないという希望、あるいはたとえ相互理解ができなくたって他者と良い関係を築くことは可能だという希望を提示しているような気もします。欲を言えば、彼ら彼女らの残したものが後の社会にどういう影響を与えるか見てみたい気もしますが、作者的にはそれは語りすぎにあたるのかも知れません。

 ちなみに、本編でほぼ唯一言及されていなかった謎(売り上げ1位の嬢は誰か)(ネタバレにつき反転)も無事に回収されてました。