あすはひのきになろう

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こわれたせかいの むこうがわ ~少女たちのディストピア生存術~【感想】

 

 2021年3月2日読了。

 

あらすじ

飛び出そう、この世界を。知恵、勇気そして大切なともだちの想いとともに。

 《フウ》――最下層の孤独少女。
 友は小鳥のアサと、ジャンク屋の片隅で見つけた、古いラジオのみ。
 《カザクラ》――マイペースな腹ぺこガール。
 出会った瞬間からフウを「お兄ちゃん」と慕い、陽気な笑顔でつきまとってくる。
 そんな二人が出会ったここは、世界にただ一つ残るヒトの国。異形の怪物たちが支配する果てなき砂漠の真ん中で、ヒトビトは日々の貧苦を喜びとし、神の使いたる王のために生きねばならない――。
 だが、彼女たちが知る世界は、全部大ウソだった。
 たくさんの知恵と一握りの勇気を胸に。今、《世界一ヘヴィな脱出劇》が始まる。
 第26回電撃小説大賞《銀賞》受賞作。
 風の名を持つ、二人の少女の物語。

 出典:https://dengekibunko.jp/product/kowaseka/321910000145.html

 

 第26回電撃小説大賞《銀賞》受賞時の選評はこのリンクから。

 

 

感想

 全体的なストーリーラインと世界観にとても心惹かれるものがありました。貧民出身故に全く教育を受けてこなかった主人公が、ラジオを手に入れることでどこからか受信している教育番組の放送を通して知識を手に入れ、活路を開いていく展開は結構熱いものがありますし、ラジオという小道具を描写的にも物語的にも終始上手く使っていたと思います。世界観もやや煩雑な感は否めませんが、絵として想像しやすくかつ魅力的でした。

 一方で、読んでいる途中でしばしば話者がよく分からなくなったり、かと思えばラジオに出てくる先生は語尾に「なのだよ」をつけて喋ったり、みたいなチグハグ感が気になりました。あとはキャラの関係性ですかね……。特にサミヤなんかはもうちょい掘り下げても良いんじゃないかと思いますが、それとはまた別に、主人公がカザクラを道具として使っている感がちょっと強くて(決め台詞を言ってパワーアップさせるところ)、そこがうーんと思ったり。まぁ両者ともにそんな気はないんだろうとは思いますが、カザクラ側にデメリットがあるせいでそう思えてしまいました。

 2巻まで出ているようなので、機会があれば読みたいと思います。