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賭博師は祈らない【感想】

 

賭博師は祈らない (電撃文庫)

賭博師は祈らない (電撃文庫)

 

 2020年10月1日読了。ラノベとしてはやや異質かつ硬派な作風ながら、展開自体は王道で、全体として高いクォリティでまとまった作品だと思います。とても面白かったです。

あらすじ

第23回電撃小説大賞《金賞》受賞作品!

十八世紀末、ロンドン。
賭場での失敗から、手に余る大金を得てしまった若き賭博師ラザルスが、仕方なく購入させられた商品。
――それは、奴隷の少女だった。
喉を焼かれ声を失い、感情を失い、どんな扱いを受けようが決して逆らうことなく、主人の性的な欲求を満たすためだけに調教された少女リーラ。
そんなリーラを放り出すわけにもいかず、ラザルスは教育を施しながら彼女をメイドとして雇うことに。慣れない触れ合いに戸惑いながらも、二人は次第に想いを通わせていくが……。
やがて訪れるのは、二人を引き裂く悲劇。そして男は奴隷の少女を護るため、一世一代のギャンブルに挑む。

 出典:https://dengekibunko.jp/product/tobakushi/321611000283.html

 

 第23回電撃小説大賞《金賞》受賞時の選評はこちら

 

 

感想

 『吸血鬼に天国はない』の作者のデビュー作です。選評でも触れられており、また『吸血鬼~』も同様ですが、異世界ものが隆盛している今のラノベ界隈であえて18世紀のロンドンという現実の過去を舞台にしており、またそれを物語に上手く生かしているところに作者の力量を感じます。舞台設定や世界観からハードボイルドな雰囲気を上手く醸し出している点も『吸血鬼~』と同様です。展開もある程度予想は付くものの、それが作品の面白さを損なっていることはなく、奴隷の少女との出会いを通した主人公の変化が丁寧に描かれているため、王道的で非常に良かったと思います。要所で挟まれる賭博のシーンもわかりやすい説明とともに語られるため、例えば「ブラックジャック」のルールを知らなくても楽しめますし、エンタメ要素として十分だったと思います。全5巻で完結しているようなので、続きも読みたいと思います。