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月とライカと吸血姫【感想】

 

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

 

 2021年3月19日読了。

 

あらすじ

宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女の物語。
人類史上初の宇宙飛行士は、吸血鬼の少女だった――。
いまだ有人宇宙飛行が成功していなかった時代。
共和国の最高指導者は、ロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。『連合王国よりも先に、人類を宇宙へ到達させよ!』と息巻いていた。

その裏では、共和国の雪原の果て、秘密都市<ライカ44>において、ロケットの実験飛行に人間の身代わりとして吸血鬼を使う『ノスフェラトゥ計画』が進行していた。とある事件をきっかけに、宇宙飛行士候補生<落第>を押されかけていたレフ・レプス中尉。彼は、ひょんなことから実験台に選ばれた吸血鬼の少女、イリナ・ルミネスクの監視係を命じられる。

厳しい訓練。失敗続きの実験。本当に人類は宇宙にたどり着けるのか。チームがそんな空気に包まれた。
「誰よりも先に、私は宇宙を旅するの。誰も行ったことのないあの宇宙から月を見てみたいの」
イリナの確かな想い。彼らの胸にあるのは、宇宙への純粋な憧れ。

上層部のエゴや時代の波に翻弄されながらも、命を懸けて遥か宇宙を目指す彼らがそこにはいた。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が紡ぐ、宙と青春のコスモノーツグラフィティがここに。

出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09451647

 

 

感想

 ずっと気になってはいたんですが、ずるずると読むのを先送りにしていたところアニメ化の一報を聞き、重い腰を上げて読みました。

  1960年代のアメリカと旧ソ連による宇宙開発競争の史実を下敷きに、旧ソ連をモデルとするツィルニトラ共和国連邦では、人間の代わりに、差別の対象であった吸血鬼を実験体として宇宙に打ち上げる極秘計画が進められており、主人公はそのサポート役を拝命する……というお話。いわゆるボーイ・ミーツ・ガールものですが、宇宙×吸血鬼という面白いアイデアを上手く生かした王道物語という印象でした。紙幅の制限によるものか、全体的にやや駆け足気味というか、話にダイジェスト感があったのはやや残念だったものの、展開自体は踏むべきステップをきちんと踏んでいて違和感はなく、序盤中盤の要素を終盤で回収していく展開はとてもきれいでした。シーン一つ一つの描写がとてもよくて、特に吸血シーンとか宇宙空間でイリナが浸酒のレシピを伝えるシーンとかは印象的でした(ネタバレにつき反転)。

 アニメ映えしそうなシーンも多そうですし、今からアニメ放送が楽しみな作品が一つ増えました。続刊も是非読みたいと思います。