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ある日、爆弾がおちてきて【感想】

 

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

  • 作者:古橋 秀之
  • 発売日: 2005/10/11
  • メディア: 文庫
 

 2021年5月12日読了。僕が読んだのは2005年に刊行された初版ですが、2017年に書き下ろし短編を加えた新装版が出ているそうなので参考までに。

 

あらすじ

「人間じゃなくて“爆弾”?」「はい、そうです。最新型ですよ~」。ある日、空から落ちてきた50ギガトンの“爆弾”は、なぜかむかし好きだった女の子に似ていて、しかも胸にはタイマーがコチコチと音を立てていて―「都心に投下された新型爆弾とのデート」を描く表題作をはじめ、「くしゃみをするたびに記憶が退行する奇病」「毎夜たずねてくる死んだガールフレンド」「図書館に住む小さな神様」「肉体のないクラスメイト」などなど、奇才・古橋秀之が贈る、温かくておかしくてちょっとフシギな七つのボーイ・ミーツ・ガール。『電気hp』に好評掲載された短編に、書き下ろしを加えて文庫化。

出典:https://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%82%8B%E6%97%A5%E3%80%81%E7%88%86%E5%BC%BE%E3%81%8C%E3%81%8A%E3%81%A1%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%A6-%E9%9B%BB%E6%92%83%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%8F%A4%E6%A9%8B-%E7%A7%80%E4%B9%8B/dp/4840231826 

 

 

感想

 SF短編集ですが、サイエンス・フィクションというよりは少し不思議寄りかなぁという印象。ボーイ・ミーツ・ガールという点を除いて方向性も結構バラバラですが、あとがきにある通り、「時間」というテーマは共通しています。

ある日、爆弾がおちてきて

 短いながらもめちゃくちゃ切ない。爆弾と少女を心臓病に使われるニトログリセリンを挟んで関連付けてるのが非常に上手いなぁと思います。そもそもの着想も面白いけれど、それをこの短さで鮮やかにまとめ上げている良作だと思います。

おおきくなあれ

 “阿呆風邪”と呼ばれる病気をめぐる少年と少女の会話劇。一番青春っぽいのはこれかな。想像すると絵面が面白いし、オチもきれい。

恋する死者の夜

 ホラー風味。救いがない。不気味で陰鬱ですが、どこか幽玄な美しさも感じます。恋人と遊園地に行った楽しかった日を繰り返す、というモチーフに惹かれるものがあります。

トトカミじゃ

 図書館の神様の話。なるほど、確かにロマンチックな話かも。前作とは打って変わって救いのある話。

出席番号0番

 毎日別のクラスメイトに憑依することで存在する生徒をめぐるドタバタコメディ。就活のときに「人間関係の潤滑油です」って言ってそう。

三時間目のまどか

 主人公とヒロインの両者の時間差を利用した作品。ストレートにハッピーエンドなのも良いよね。

むかし、爆弾がおちてきて

 時間の流れに閉じ込められた少女に会いに行く少年の話。まさにボーイ・ミーツ・ガール。