あすはひのきになろう

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時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん【感想】

 

 2021年8月27日読了。

 

あらすじ

ただし、彼女は俺がロシア語わかることを知らない。
「И наменятоже обрати внимание」
「え、なに?」「別に? 『こいつホント馬鹿だわ』って言っただけ」「ロシア語で罵倒やめてくれる!?」
俺の隣の席に座る絶世の銀髪美少女、アーリャさんはフッと勝ち誇った笑みを浮かべていた。
……だが、事実は違う。さっきのロシア語、彼女は「私のことかまってよ」と言っていたのだ!
実は俺、久瀬政近のロシア語リスニングはネイティブレベルなのである。
そんな事とは露知らず、今日も甘々なロシア語でデレてくるアーリャさんにニヤニヤが止まらない!?
 全生徒憧れの的、超ハイスペックなロシアンJKとの青春ラブコメディ!

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000027/ 

 

 

感想

 広告展開の化け物。

 決して駄作ではありませんが、広告展開や人気を見るにさすがにちょっと過大評価されすぎかなぁと感じます。原型となった「小説家になろう」掲載作品に「本文中のロシア語は翻訳ソフト頼りなので、かなりいい加減だと思います。」とある通り、作者はそれほどロシアに思い入れがあるわけではないようで、本文中にロシア語表記が登場するのは全編通して2回、イラスト等を含めても片手の指で足りる程度です。「ロシア語」である必然性は一切なく、単に「ロシア人の血をひく美少女」というモチーフだけを取り出してキャラに利用してやろうという作者の姿勢にはいっそ清々しささえ覚えます。ただ、妹の使い方はとても上手いと思いました。ヒロイン視点ではライバルですが、主人公と読者視点ではヒロインは単一に絞られるので、作品のコンセプトを崩すことなく話の展開に幅を持たせることに成功しています。これは本作のオリジナリティ、強みと言って良いのではないでしょうか。それ以外は、主人公にだけデレる孤高の美少女、本気出せばすごい主人公、盛り上がりに欠ける短編連作形式の紋切り型ラブコメ展開と、近年流行の要素を上手く取り合わせたごく一般的なクオリティの作品に過ぎません。もちろん、読むに堪えないなんてことはありませんが、正直編集部の猛烈なプッシュがなければ今のような評価を受けられていたとは到底思えず、一層厳しい目で見てしまったところもあります。逆に言えば、一定のクオリティさえあれば編集部のプッシュでここまで売れるという先例ができたとも言えますが……。まぁ、どこまで伸びるか、期待半分で注視したいですね。