あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

現実でラブコメできないとだれが決めた? 2【感想】

 

2021年8月31日読了。

 

あらすじ

第二章 サブキャラをラブコメ落ちさせよ!
トンデモ理論で共犯者・彩乃を『幼馴染』にでっち上げ、なんとか危機を乗り切った耕平。

作り上げた友達グループとの親交も順調。

「これで理想のラブコメができるはず!」いざ実現に向け行動を開始する――が、クラスが全然ラブコメにノッてくれない!

1年4組を「ラブコメできるクラス」にするには、サブキャラたちの協力が必要。

『昼食時のオタトーク』『自由時間のバレーボール』『地域清掃ボランティア』さまざまなイベントを駆使して絆を深め、徐々にクラスを盛り上げていく。

だが、勝沼あゆみが不穏な動きを見せており――!?

 

 

――ラブコメは『実現する』時代へ! 待望の第二弾登場!!

出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09451877

 

 

感想

 ラブコメを作るラブコメ第2弾。他作ネタもややマイルド*1になっており、個人的には前巻より読みやすくなったと思っています。まぁ主人公の痛々しさは変わらんけど、もうそこ含めて主人公の個性みたいなとこあるし、そこが合わんかったら本作はもう読めないでしょう。それよりも強く引っかかるのは主人公の無邪気な独善性とても言うべき性向。確かに主人公が他者を導く方向は悪いものではありませんが、他人を自分の都合の良いように誘導していることは間違いなく、そこに主人公自身も作者も自覚的であるのかどうかがいまいち読み取れない。そこは主人公の対立軸として設定されてるメインヒロインちゃんであっても変わらないんですよね。自分の居心地を良くするために他者を徹底的に利用しようっていう。この点についてはいずれ作品内でも必ず言及されるべきだと思います。

 それを先送りにすれば、物語としては面白い。主人公とメインヒロインちゃんがそれぞれ自分の望む方向にクラスや今回フォーカスされるギャルを誘導しようとするんだけど、どちらもクラスやギャルを制御しきれないのが良い。途中のサブイベントでは情報を活かして上手くいく分、その後の「落とす」展開が映えています。女王様気取りが転落する様、主人公の自分が悪役になることで解決しようという姿勢等々既視感は強いし、思わせぶりなシーンも多かったとはいえ「実はこの子にはこんな不幸な境遇が!」を突然やられても「あ、そーですか」としかならない。とはいえ、全体として面白く仕上がってるのはキャラに嫌みがなく過剰にシリアスにならないところと、何故そういう展開になるのか、何故そのキャラがそういう行動を取るのかという導線、必要な前振りが丁寧なところが大きいんじゃないでしょうか。今後に期待したいシリーズであることに変わりはありません。

*1:これはネタとしての登場頻度が下がったという意味ではなく、過剰なよいしょがなくなったという意味