あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

宅録ぼっちのおれが、あの天才美少女のゴーストライターになるなんて。【感想】

 

2021年10月12日読了。

 

あらすじ

「小沼くんの曲、私に一つだけくれないかな?」ぼっちの小沼拓人はクラスの天才美少女シンガーソングライターの市川天音と秘密の関係に。歌えなくなってしまった彼女の再起をかけ、楽曲制作の日々が始まるのだが!?

出典:https://sneakerbunko.jp/product/takurokubotti/322104000004.html

 

 

第26回スニーカー大賞《優秀賞》受賞作品。受賞時のタイトルは『宅録ぼっちのおれがあの天才美少女のゴーストライターになるなんて。<リマスター版>』。以下は総評の一部抜粋。

 優秀賞を受賞した『宅録ぼっちのおれがあの天才美少女のゴーストライターになるなんて。<リマスター版>』は、伝説のシンガーソングライターのヒロインと共に曲作りをしていくラブコメ作品です。ヒロインたちとの繊細な関係性を描き出した力が評価され、受賞に至りました。近年のラブコメ作品の潮流を丁寧に研究しており、その上で作者の音楽へのこだわりが非常に強く感じ取れ、独自の色を出すことができていました。

出典:https://sneakerbunko.jp/award/archive/archive-26.html

 

感想

 「小説家になろう」発の作品ではありますが、Webから直接の書籍化ではなく、新人賞を受賞してのデビューだからか、質の担保は十分になされていたかなと思います。Web発の作品にありがちな、細かい単位でのぶつ切り展開が続いたり、その結果として1冊の起承転結が弱かったりといった問題点も見られませんでした。何より、「言葉にしなければ伝わらない」という作品を貫く軸がしっかりしていたのが非常に良かったです。美少女とのバンドものと言うと、近年の作品では『楽園ノイズ』と近い題材ですが、こちらの方がラブコメ要素が強めです。とはいえ、音楽制作の描写もしっかりしており、大味ではありますが王道の展開で手堅くまとまっていた印象です。それくらいの中傷でそこまでダメージ受けてちゃシンガーソングライターするのは無理だろとか、その中傷した相手とやけにあっさり仲直りしてんなとか、野暮なツッコミは結構思いつきますが、話を運ぶ上での瑕疵とまでは言えないでしょう。キャラ造形で言えば、単純な主人公中心のハーレム構造にせず、ヒロインそれぞれの主人公に対する好感度というか、スタンスに濃淡を付けているのが、物語を上手く転がすのにも効果を発揮していたように感じます。メインヒロインが正統派過ぎて、幼馴染の沙子の方が目立っていたのが意図してのことかどうかは気になりますが。

 ちなみに作中曲はYouTubeで視聴することができます。どっちもなかなか良曲で、プロモーション力入ってますね。

www.youtube.com

www.youtube.com