あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

目を見て話せない/似鳥鶏(KADOKAWA)【感想】

 

2021年10月14日読了。

 

あらすじ

推理はできるけど、会話はできない。探偵界に異色のニューヒーロー誕生!?
藤村京はいわゆるコミュ障。対面で人と喋ることが苦手だ。大学入学早々、友達作りに出遅れ落ち込んでいると傘の忘れ物を見つける。だが人に話しかけられない藤村は忘れ物をした状況を推理して持ち主捜しをするが!?

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/321903000375/

 

 

感想

 いわゆる「コミュ障」な大学生が繰り広げるライトミステリ。やたら差し挟まれる注釈で作者が特定できます。

 謎解きの面でも情緒の面でもよくまとまっていて気軽に読むには十分楽しめると思います。「コミュ障」ネタも、程度の差はあれ多かれ少なかれ誰もが感じてるような普遍的なものだし、物語の収束の仕方的にもそういう方向*1なので、よっぽど人見知りしない陽キャとかじゃない限り、広く共感できるのではないでしょうか。謎解きで言えば、二話の試着室のやつは現実だと気づきそうってのと、五話も教授はともかく学生の方は度胸と機転の利かせ方がすげぇなと思いました。

 ただ、ライトミステリとはいえ、安易に絶対的悪役を出すのはやや引っかかりを覚えます。五話は完全に懲悪の流れで、三話で「誰の中にも自覚しているかどうかにかかわらず悪意が潜んでいるかもしれない」、みたいな話をやった後では余計違和感を覚えてしまいます。短編連作形式ではありますが、もっと全体に一貫性があればより良かったかもしれません。

*1:誰もがどこか「コミュ障」なのかもしれない、みたいな