佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 ~魔法少女がアップを始めたようです~/ぶんころり(MF文庫J)【感想】
2022年11月27日読了。
あらすじ
ペットショップで購入した可愛い文鳥は異世界から転生してきた賢者様だった
佐々木がペットショップで購入した文鳥は、異世界から転生した高名な賢者様だった。
可愛らしい賢者様に世界を超える機会と強力な魔法の力を与えられ、佐々木は異世界へと現代の物品を持ち込んで商売を開始。
世界間貿易でお金を稼ぎ、魔法の訓練をして、美味しい物を食べまくる――そんな悠々自適なスローライフを目指してみるも、ある日のこと、会社からの帰り道で佐々木は異能力者と遭遇する。
賢者印の魔法で異能バトルを切り抜けるが、その実力を見込まれて内閣府超常現象対策局という異能管理組織からスカウトされ、晴れて転職先が決定してしまい……?
異世界ファンタジーに異能バトルに年の差ラブコメ(?)。
さらには魔法少女、ご近所JC、同僚JK、貴族、ロリババア、王子etc...属性ジャンル全部乗せでお贈りする、アラフォーリーマン佐々木&文鳥賢者ピーちゃんコンビの異世界と現代日本行ったり来たり物語。
MF文庫Jが放つ単行本として、遂に登場!出典:https://mfbunkoj.jp/product/sasaki_pichan/entry-9988.html
感想
2段組みの単行本でかなりボリューミー。そうそう、単行本サイズなんですけどMF文庫Jから刊行されているという扱いらしいので、一応レーベルはMFにしてます……そんな変な枠で出さなくても普通にMFブックスとかじゃダメだったのかな。
異世界の賢者様らしい喋る文鳥ピーちゃんと出会ったしがないサラリーマンが、ピーちゃんに魔法を教えてもらいつつ、異世界に現代の製品を持ち込んで金を稼いだり、魔法を異能力と勘違いされて能力者の機関に取り込まれたり、異世界で戦争に巻き込まれたりします。
いろいろ要素を突っ込んでいるんですが、どの要素もそれほど面白くないので、ごた混ぜにしたところでめちゃくちゃ面白くなるわけじゃないよね、っていう……。現段階ではそれぞれの要素を上手くまとめ上げられてなくて、それぞれ切り分けて展開しているのでさもありなんといった感じ。テンポもあまり良くなくて、序盤はこっちの製品をあっちで売る話ばかりなのでなかなか退屈。能力者に巻き込まれるくだりも設定自体はありきたりだし、結構な死人が出てる割にただのサラリーマンであるはずの主人公が異常に落ち着いるのには違和感が。途中で急にお隣さん視点が入るのも不自然で意味分かんねぇと思ったら、ラストでヤンデレだっていうのを明かしたかったらしい。じゃあ魔法少女やら敵の能力者やらのネタばらしも1巻本編のうちに入れて欲しかった。巻末のキャラ紹介じゃなくて。
終盤の異世界で戦争に巻き込まれる話は結構面白かったんですが、それにしても無駄にボリュームがありすぎる。つまらなかったというよりも、たくさん読まされた割に大した満足感がなかったという点に不満を感じました。料理人雇って店開くくだりとかほとんどいらなくない? 大して絡むわけでもないし。単行本サイズのネット書籍化作品のシリーズものって、1冊の内容がスカスカで不満に思うことがしばしばありますが、たくさん詰め込めば良いわけでもないんだなと気づかされました。淡々とした語り口自体は悪くないんだけど、やたらと同日だの同所だのといった熟語を多用するのは何だったんだろう。もしかしてそれがサラリーマンっぽいって思ってる?
キャラも色々出てきたけどしっかり絡むのはピーちゃん(とミュラー子爵もギリ入れていいか?)くらいで、どの勢力のキャラともそんなに絡まないからキャラものとしての魅力も乏しい。意志薄弱そうな割に敵能力者には慇懃無礼に振る舞うよくわかんない主人公のキャラにも強い魅力があるわけでもない。お隣さんに一線引いてるところが小市民臭いんですけど、妙に大胆なときもあって、あんまり一貫性を感じられないんですよね。これからどんどん続いていったら描写の積み重ねで良さが出てくるのかもしれませんが、そもそも1巻でこんだけ紙幅を費やしたんだからそれくらいのことはやって欲しい、という不満に結局戻ってきてしまいます。
なんかアニメ化するみたいだし、アニメになって話を圧縮させたらそれなりに見れそうな気配はしますね。