あすはひのきになろう

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パン焼き魔法のモーナ、街を救う/T・キングフィッシャー/原島文世 訳(ハヤカワ文庫FT)【感想】

 

2022年11月19日読了。

 

あらすじ

ネビュラ賞ローカス賞など5賞受賞の 異世界ファンタジイ

魔法使いがそんなには珍しくない世界。パン屋で働く14歳のモーナも、パンをうまく焼いたり、クッキーにダンスさせたりと、パンと焼き菓子限定のちょっとした魔法を使えた。そのモーナが、ある日知らない女の子の死体を見つけてしまう! そのうえ、陰謀に巻きこまれ、敵の軍勢が攻めてきたとき、魔法使いはモーナただ一人! 街を守れだなんて、どうしたらいい!? ネビュラ賞ローカス賞など5賞受賞の話題のファンタジイ

出典:https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015216/

 

 

感想

 面白かったです。タイトルや表紙からはポップな印象を受けますが、それだけでない骨太なファンタジーでした。「ボブ……発酵種」とかいう他でお目にかかることのないだろうキャラ紹介が既にじわじわくるし、開幕1ページ目で主人公が女の子の死体を見つけ、30ページもたたないうちに逮捕されてしまうスピード感に引き込まれます。人の形のパンを踊らせるなど、パンを操る主人公の魔法の描かれ方が魅力的でワクワクするし、語り口も翻訳物らしいユーモアに富んでいます。一方で、14歳の少女に大きな負担を強いる状況を率直に批判する姿勢や、大人や権力に対する皮肉・風刺が見て取れ、「英雄」という存在の歪さが繰り返し強調されています。ストーリーの面白さもさることながら、こうした現実社会への示唆が物語に厚みをもたらしていると感じました。原書はヤングアダルト向けだったようですが、幅広い世代が楽しめる作品だと思います(このレーベルだと逆に子どもが読まなさそうですが……)。