あすはひのきになろう

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この本を盗む者は/深緑野分(KADOKAWA)【感想】

 

2022年3月30日読了。

 

あらすじ

森見登美彦さん推薦。本の魔力と魅力を詰め込んだ、空想の宝箱!
「ああ、読まなければよかった! これだから本は嫌いなのに!」
書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、父の代わりに館を訪れていた深冬は残されたメッセージを目にする。
“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”
本の呪いが発動し、街は侵食されるように物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り世界が元に戻らないと知った深冬は、探偵が銃を手に陰謀に挑む話や、銀色の巨大な獣を巡る話など、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れて――。

【推薦文続々!】
呪われて、読む。そして書く――私たちは!
――作家 森見登美彦さん

盗まれる本たちの魅力的なこと!
私もブックカースの世界に迷い込んでしまったような錯覚にくらくらした。
――作家 宮下奈都さん

想像力に底があり、その底が抜けることがあるということを、久々に実感した。すごい本が出てしまったものだ!
――翻訳家 金原瑞人さん

『この本を盗む者は』は、わずか2頁で私の心を盗んでしまった。時間にして5分足らずの早業だ。
――明林堂書店南佐賀店 本間 悠さん (文芸WEB マガジン「カドブン」より)

出典:https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000257/

 

 

感想

 本を盗むと、呪いによって町ごと本の世界に侵食されてしまうというファンタジー

 個性的で独特な本の世界観が町やその住人を作り変えてしまう描写はそれなりに面白いですし、主人公の一族の因縁に絡めたストーリー展開もあって、手堅くはあるんですが、これといって突き抜けた魅力がなかったように思います。着想もキャラも物語も、全部悪くないんだけど引き込まれるほどでもない……みたいな。

 オチも突然過去語りが始まったかと思えば、結局ふわっとしたハッピーエンドで終わってしまって、いまいち主人公がどう成長したのかとか、作品が何を伝えたかったのかが捉えきれず、若干消化不良感が残りました。

 これこそ創作物に無闇に意味を見出そうとしない児童に向けて出した方が受けるんじゃないかと思いますが、どうでしょう。