あすはひのきになろう

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ミモザの告白 2/八目迷(ガガガ文庫)【感想】

 

2022年2月5日読了。

 

あらすじ

変わりゆく三角関係。いま舞台の幕が上がる
衝撃的な一学期が終わり、咲馬たちは夏休みに突入する。
いつもと少し違う、だけど何気ない日常の最中に、ふと頭をよぎる『あの出来事』。ちゃんと向き合わなければならない、そう思う咲馬だが、今は目を逸らすことしかできなかった。

そんな夏休みのある日。咲馬は、汐と夏希の三人で水族館へ行くことになる。三人は暗黙の了解のように『あの出来事』には触れず、楽しい時間を過ごす。だがなんでもないように振る舞っていても、過去はなかったことにはならない。

「二人は、付き合ってるんだよね?」

夏休みが終われば、その先には文化祭が待ち受ける。三人はそれぞれの想いを胸に、文化祭の準備を始める。実行委員の仕事、そしてロミオとジュリエット。行き違い続けた感情が交わるとき、舞台の幕が上がる。

『夏へのトンネル、さよならの出口』のコンビ「八目迷 × くっか」が贈る、待望の青春小説第2弾。今日的な問題に切り込んだテーマ性と衝撃的な結末から、続刊を希望する声が相次いだ話題作。

出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09453047

 

 

感想

 読んでて疲れる、というのが率直な感想。表面上平穏でも、ちょっとの違和であっさり崩れてしまいそうなどこかぎくしゃくした三人の関係性の描写が巧みで、読んでるこっちの息が詰まってしまいそうでした。

 主人公や夏希が、どうにか現状を良い方向に持っていこうと色んなアクションを取るのですが、汐がそれをポジティブに受け入れられるとは限らず……みたいな三者それぞれの立場を理解できるがゆえに、如何ともしがたいもどかしさがあります。強いて言えば、主人公≒読者視点からは汐が何を考えているのか判然とせず、モヤモヤポイントではあります。汐視点から眺めてみたら、また違った景色が見えてくるんでしょうね。演劇のシーンで、結局汐が台詞の飛んだ主人公の尻拭いをするところは、その改変された内容も含めて象徴的に思われました。

 全体として話の進みが遅い印象は拭えず、西園や世良を使えばもっと引っかき回すことは容易そうなものの、前巻のラストを受けて、この考えすぎてぐるぐるする感じの巻をあえて挟んでいるような気もします。前巻の感想で、「1巻では何も結論が得られていない」と述べましたが、シリーズ全体の対話を通して、何らかの結論を見出すのが目標っぽいですね。扱う題材的にもダラダラ続けるのに適してはないですし、どのようにまとめ上げるのか、作者の手腕に期待したいところです。