あすはひのきになろう

ライトノベルを中心にいろんなコンテンツの感想を記録していきたいブログ

天使は炭酸しか飲まない/丸深まろやか(電撃文庫)【感想】

 

 2022年2月5日読了。読んだのは紙書籍。

 

あらすじ

記憶と恋がしゅわりと弾ける、すこし不思議な青春ストーリー。

 恋に悩みはつきものだ。
 気持ちを伝える勇気がほしい。意中の相手の好きな人が知りたい。誰かに悩みを聞いてほしい。背中を押してほしい。
 そんなやつらの気持ちが、俺には痛いほどわかる。
 忘れられない過去があるから。そして、彼らを救える「ちから」があるから──。
 だから、俺、明石伊緒は“天使” となった。
「やっと見つけたわ、久世高の天使」
 恋多き乙女、柚月湊の異常な惚れ癖を直すため、天使は少女の頬に触れる。記憶と恋がしゅわりと弾ける、すこし不思議な青春物語。

出典:https://dengekibunko.jp/product/322105000018.html

 

 

感想

 なんかわざわざ半透明カバーとかつけてるあたり、レーベル的には推したい作品っぽいですね。が、個人的には伸びしろは感じるものの、随所に粗さが目立つ作品と感じました。

 触れた相手の好きな人がわかる能力を持つ主人公、色んな人にすぐ惚れてしまうヒロインといった設定は興味をそそられますし、解明することが目的となるヒロインの惚れ癖の理由も、まぁ見当はつきますが説得力はそれなりにあります。ただ、展開の進め方はぎこちないところが多々。敵役となるキャラの動機付けとして機能している「三大美女」だの「プラスフォー」だの仰々しいくくりは古くさく感じられましたし、お互いに名前を呼ぶようになるくだりはキャラの使い方が強引です。それ以外にも友人キャラを便利に使いすぎている印象は否めません。主人公側には前振りがあったとはいえ、物語の根幹を担う重要な主人公とヒロインの過去を立て続けに語りだけであっさり開陳してしまうところも物足りなさがあります。また、ここが最も大きな不満点なのですが、主人公が正論パンチを食らわせるためだけに登場する敵役のキャラは、そのキャラ自身よりも、そのキャラを使って主人公の正当性を演出しようとする作者の意図が透けて見えるせいであまり愉快ではありません。

 着想は面白いし、終盤を除けば大筋も悪くはなかった。しかし、現状では良作と推すには足りない部分が多いと感じました。