あすはひのきになろう

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わたし、二番目の彼女でいいから。2/西条陽(電撃文庫)【感想】

 

2022年2月18日読了。

 

あらすじ

「二番目」が二人いても、いいでしょ? 危うい関係は崩壊し、そして――。

「私、二番目の彼女でいいから」

 彼女のその言葉に甘えて、俺はみんなに隠れていまも、悪いことを重ねている。
 早坂さんと夜の教室で二人、いけないことをして。橘さんと真夜中、こっそり見知らぬ駅でキスを交わす。そんな早坂さんと俺と橘さんの甘い泥沼は、けれど。

「今度、私の全部をあげるね。だから、ちゃんと受け止めてね。逃げないでね」

 大胆になっていく好意の果てで、もう、落としどころを見つけられない。
 一番目じゃなくて、いいはずなのに。
 二番目のままでも、いいはずなのに。
 互いに言い訳をしながら、競うように壊れていく俺たちの関係。100%危険で、甘美で、嫉妬にまみれた恋の挙句の果てに、彼女が口にする言葉は――。

出典:https://dengekibunko.jp/product/322109000023.html

 

 

感想

 1巻に比べると、底が見えてきたというか、単なるエッチで背徳的なシチュエーションを押し出すだけの作品になってしまった感があります。1巻にあった「舞城王太郎」のようなセンスの感じられる描写は鳴りを潜め、ひたすら取り返しのつかない方向へ突き進む主人公とヒロインズが描かれます。もちろん、エッチで背徳的なシチュエーションそれ自体はしっかり読ませるし、その魅力が衰えたってことはないんですが、エッチなものが読みたいならそれ用のものを読むんですよね……。

 また、今巻から「電撃ノベコミ」で連載されていたものが書籍としてまとまっているためか、各話の終わりに週刊連載漫画のように引きを作ろうとしている節があり、かえってリーダビリティを下げている印象を受けました。の割に、先読み自体は容易で、終盤の展開とか正直着ぐるみの話が出てきた時点でどうせそうなるやろ、っていう展開をなぞっていて物足りない。作者的には道徳的・常識的な倫理観や純愛/不純という価値観に疑問を呈したいようですが、主人公の言動はとりあえず楽な方に流れようって感じで意志の強さを感じないし、モノローグも開き直った言い訳のようにしか見えない。クズな主人公も歓迎ですが、現状のままでは一般的な価値観を問い直すことに説得感を与えることは難しいでしょう。

 1巻の満足度が非常に高かったこともあり、厳しい評価のようですが、1巻を読んだからこその期待の裏返しでもあります。続刊では、もっと見たことのないものを見せて欲しい、と強く望みます。