あすはひのきになろう

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スクイッド荘の殺人/東川篤哉(光文社)【感想】

 

2022年9月7日読了。

 

あらすじ

閑古鳥さえ寄りつかない鵜飼(うかい)探偵事務所に、待望の依頼人が訪れた。その男は、なんと烏賊川市(いかがわし)の有力企業社長・小峰三郎。三郎は、クリスマスに宿泊するスクイッド荘に同行し、脅迫者から自分を護ってほしいという。断崖絶壁に建つ奇妙な形のスクイッド荘は大雪に見舞われ、いかにも怪事件が起こりそうなムード。探偵と助手が酒と温泉にうつつを抜かしている間に、殺人者はひたひたと忍び寄り……
あっちもこっちも不審者だらけ! 驚天動地の真相とは!?

出典:https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334914592

 

 

感想

 13年ぶりの烏賊川市シリーズ新作らしい。おおむね鵜飼探偵と流平のスクイッド荘パートと、20年前の事件の謎を追う砂川警部と志木刑事のパートにわかれ、クライマックスに向かって両者が合流していく流れになっています。

 相変わらず緊張感のない掛け合いが多く、懐かしい気持ちになりました。実際にやるとなると無理筋そうなところや、それを前振りというか伏線としてその展開やるのは厳しいんじゃないかというところ、動機がやや弱いと感じられるところもあるっちゃありましたが、そこも含めてまぁこの人の作品らしさ、みたいなところもあります。とはいえ、鍵を握る人物の名前を利用したミスディレクションと、お得意の野球ネタを活かしたオチ、20年前と現在の二つの事件が収斂していく様は素直に面白く、久しぶりの烏賊川市シリーズを楽しめたかと思います。

 こうなると、『放課後はミステリーとともに』の新作も欲しくなってきますね……。鯉ヶ窪学園が舞台の話は最近もあったのですが、霧ヶ峰涼にもう一度登場して欲しいなぁ、と思ったり。