あすはひのきになろう

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ただ制服を着てるだけ2/神田暁一郎(GA文庫)【感想】

 

2021年12月15日読了。

 

あらすじ

第13回GA文庫大賞《金賞》
ニセモノJK×ワケアリ社畜 いびつな二人の同居ラブストーリー第2弾!

「私、あなたの『彼女』ですよ? ちゃんと『彼氏』らしく、優しくエスコートしてよね?」
同居生活を送る社畜・広巳とニセモノJK明莉。ヒミツの関係は広巳の店の従業員、舞香にバレてしまう。
「……え? マジに付き合ってないんですか? キモ~い!」
バレても構わないと明莉と職場の人間関係的に困る広巳、そんな中、明莉の職場の店長にもバレてしまう。
「あゆみ、直引きしてるだろ?」
店長の疑いを晴らすため二人は恋人関係を演じることに!? そんな日常の中、明莉の過去を知る人物が現れ、トラブルが起きてしまう――。
いびつな二人の心温まる同居ラブストーリー第2弾!

出典:https://ga.sbcr.jp/product/9784815611781/

 

 

感想

 前巻の感想でも述べましたが、メインヒロインと主人公との関係性を掘り下げるに当たって、サブヒロインの必要性が希薄に感じます。特に杉浦さんは現状浮いてしまっていると感じます。(あるとすれば)次巻以降彼女が主人公に思いを告げたり告げなかったりするんでしょうが、ここまで主人公とメインヒロインの関係性が強固になると、ノイズになりそうな気がします。まぁまだそうなってもいない展開に文句を付けるのも理不尽ですが……。

 前巻から引き続き、他の「JKモノ」とは一線を画す現代社会の切り取り方の生々しさは顕在。視点とか場面の切り替えにまだやや不慣れな印象はありますが、メインヒロインが進学校に通っていたという設定を踏まえていると思われる語彙のコントロールが上手かった。また大筋が「小悪党をこらしめる」という割と単純なストーリーだったからか、文章のポエミーさは前巻よりやや抑えめに感じられ、その分今巻の白眉となるメインヒロインのエッセイに凝縮されていたと思います。恐らくここ単体を切り取って出されると、十中八九鼻白んでしまってちょっと受け付けがたかったと思われ、ここまでの描写の積み重ねがあったからこそ、訴求力のあるシーンになっていたのではないかと思いました。

 個人的には、非常にキリよくまとまっていたので、蛇足になるくらいなら続刊はなくてもよいと思ってしまうのですが、どうなんでしょうか? そう思う理由の一つはにタイトル回収もあって、これが学生服からバイトの制服へ(ネタバレにつき反転)という、メインヒロインの自立を象徴するかのような非常に綺麗なオチだったんですよね。受賞時の「かげひなたになる」という題も良かったですが、改題後もこのように綺麗に回収されて良かった。タイトルも綺麗に落ちたし、ここで畳んでも良くない?というのが自分の意見です。